絵本『くれよんのくろくん』とは

作者・シリーズの概要
『くれよんのくろくん』は、なかやみわさんが手がけた人気絵本です。2001年に発行されて以来、多くの子どもたちに親しまれてきました。この作品は「くれよんのくろくんシリーズ」の第1作目にあたり、その後『くろくんとなぞのおばけ』や『くろくんとふしぎなともだち』など、続編も登場しています。
物語に登場するのは、色とりどりのくれよんたち。仲間の中で自分の居場所を探しながら成長していく姿は、子どもたちが共感しやすく、保育園や小学校でも長年読み継がれてきました。
発行年・人気の背景
2000年代初頭に出版された『くれよんのくろくん』は、当時から「自己肯定感を育てる絵本」として高く評価されました。とくに、黒という色がネガティブに捉えられがちな中で、この絵本は「黒だからこそできること」を描き出し、子どもたちに大切な気づきを与えます。こうしたテーマ性が、親や教育者から支持を集め続ける理由といえるでしょう。
☆私が保育園で働いていた頃にも幼児クラス(3歳児~)には絵本棚の中に入っていたり、この絵本が好きな先生はシリーズで揃えたりしていましたよ!
『くれよんのくろくん』のあらすじ

くろくんと仲間たちの物語
ある日、箱の中から飛び出したカラフルなくれよんたち。赤、青、黄色…みんな元気いっぱいに画用紙の上で線を描き始めます。しかし、黒いくれよん「くろくん」だけは仲間に入れてもらえません。理由は「黒は汚く見えるから」というもの。
悲しい思いをしたくろくんは、そっと画用紙の端に黒い線を描きます。すると、その線がみんなの絵を引き立て、大きな作品が完成するのです。仲間たちは「黒があってよかった!」と気づき、くろくんも自分の役割を認めてもらえるようになります。
お話から伝わるメッセージ
この物語は「個性の大切さ」を伝えています。子どもたちが成長する中で「自分は人と違うのではないか」と悩むことはよくあります。『くれよんのくろくん』は、違いを否定するのではなく、それぞれの個性が合わさることでより素敵な世界が広がることを示してくれます。
また、仲間外れや友情のテーマも含まれており、子ども同士の関わり方を考えるきっかけにもなります。
☆3歳児クラスくらいからは自分と他人の違いを少しずつ理解してくる年齢なので、何度か読み聞かせをしていると分かってくる子が増えてきますよ。
対象年齢と読み聞かせのポイント

何歳から楽しめる?(対象年齢の目安)
『くれよんのくろくん』は 3歳頃から小学校低学年 まで幅広く楽しめる絵本です。
- 幼児期(3〜5歳):色や形に興味を持ち始める時期。くれよんたちの動きや色合いを楽しめます。
- 小学校低学年:物語のメッセージ性を理解し、友達関係や自分の役割について考えるきっかけになります。
読み聞かせの工夫(声の強弱・テンポなど)
読み聞かせをする際には、くれよんたちの性格を声の調子で表現すると、子どもたちがより物語に引き込まれます。
- カラフルなくれよんたちは元気よく明るい声で
- くろくんの場面は少し小さめで控えめに
- 最後に仲間に認められる場面では、声を大きく温かく
こうした工夫で、子どもたちが「くろくんの気持ち」に寄り添いやすくなります。
保育や家庭での広がり方

製作活動やお絵描き遊びへの発展
読み終わった後に「くれよんを使って自由に絵を描いてみよう!」と誘うと、子どもたちの創造力が広がります。黒を使って輪郭を描いたり、背景を塗ったりすることで「黒があると絵が映える」という体験ができ、物語と実体験が結びつきます。
また、画用紙に大きな絵を描き、みんなで協力して完成させる「共同制作」もおすすめです。絵本のメッセージである「仲間と一緒に作る楽しさ」を体験できます。
☆まずは絵本を楽しむところから始めるのが大切です。子ども達の様子を見て、実際に製作として取り入れると一人ひとりの個性や捉え方が絵を通して見る事が出来るのも魅力ですよ。
色や個性について話し合うきっかけに
絵本を読み終えた後に「黒がなかったらどうなっていたかな?」と問いかけると、子どもたちは自分なりに考え始めます。そこから「みんな違っていいんだよね」という会話につながり、自己肯定感を育むことができます。
家庭では「自分はどんな色になりたい?」といった会話を楽しむのも良いでしょう。子どもが自分の個性に気づき、自信を持つきっかけになります。
☆この絵本をきっかけにごっこ遊びにしてみたり、実際に3歳児クラスの発表会で劇遊びで取り入れた事もありました!保護者にも知ってもらえるきっかけになるし、親子でも読んでもらいたい一冊です。
まとめ|『くれよんのくろくん』で育む想像力と友情
秋・冬の室内遊びにもおすすめ
寒い季節や雨の日の室内遊びに、『くれよんのくろくん』は最適です。読み聞かせをした後にクレヨン遊びを広げれば、親子で長い時間を楽しく過ごせます。
シリーズを通して楽しむ方法
『くれよんのくろくん』が気に入ったら、ぜひシリーズ作品にも触れてみてください。仲間たちのその後の姿や、新しい冒険が描かれており、継続して読むことで子どもたちの興味をさらに引き出せます。
『くれよんのくろくん』は、ただの色あそびの絵本ではなく、友情や個性の大切さを伝えてくれる深い一冊です。親子の読み聞かせの時間に取り入れ、笑顔あふれるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
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