子どもたちの心がふわっとほぐれる瞬間。
泣いていた子が絵本を見てニコッと笑ったり、落ち着かない様子だった子が読み聞かせに耳を傾けたり。そんな「絵本の力」を実感する保育士さんも多いのではないでしょうか。
今回は、「心が落ち着く 本おすすめ」をテーマに、保育園児にぴったりの安心できる絵本5冊をご紹介します。日常の保育やお昼寝前、登園して不安そうな子どもへの読み聞かせに、ぜひお役立てください。
子どもに「心が落ち着く本」が必要な理由

情緒が不安定になりやすい時期だからこそ
保育園に通う子どもたちは、まだ自分の気持ちをうまく言葉にできない年齢。楽しい気持ちも、不安や寂しさも、どう表現していいのか分からずに泣いたり、癇癪を起こしてしまうこともあります。
そんなとき、安心感を与えてくれる絵本は、子どもたちの気持ちをそっと包んでくれる存在になります。
絵本を通して気持ちを整える習慣を育む
心が落ち着く絵本に触れることで、「静かな時間が心地よい」という感覚を少しずつ身につけていく子どもたち。保育士が読む声やページをめくるリズムも、子どもにとって大切な安定の要素です。
毎日の生活の中に、静かに絵本を楽しむ時間をつくることで、情緒の安定にもつながります。
保育園児にぴったり!心が落ち着くおすすめ絵本5選
①『おつきさまこんばんは』(作:林 明子)

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夜空にやさしく浮かぶお月さまが、少しずつ顔を出して「こんばんは」と語りかけるシンプルな一冊。黒い背景に浮かぶお月さまの表情に、子どもたちは自然と引き込まれていきます。
- 【おすすめポイント】
静かなトーン、繰り返しのある展開が安心感を与えます。
お昼寝前や帰りの会など、気持ちを落ち着かせたいときにぴったり。
②『ちいさなあなたへ』(作:アリスン・マギー/訳:なかがわちひろ)

引用:https://m.media-amazon.com/images/I/81tI9QeN6jL._SY342_.jpg
「生まれてきてくれてありがとう」の気持ちを、母から子へ語りかけるような構成の絵本。子どもが読むというよりは、大人が“子どもに想いを伝える”ための一冊です。
- 【おすすめポイント】
子どもには内容がすべて理解できなくても、読み手の声の優しさが伝わります。
新入園児や不安定な時期の子に向けて、大人の愛情を届ける読み聞かせに◎。
③『もこ もこもこ』(作:谷川俊太郎)

引用:https://m.media-amazon.com/images/I/51Bf6cdEybL._SY385_.jpg
「もこ」「ぱく」「しーん」など、意味のないようで意味がある不思議なことばが続く絵本。一見シュールですが、子どもたちはその音とリズムに魅了され、夢中になります。
- 【おすすめポイント】
読む側の声や間の取り方で、ゆったりとした空気感をつくれる一冊。
子どもが笑って、リラックスしながら静かに集中してくれる傾向があります。
何度も繰り返し読めるのと、子ども達もストーリーが分かっていながらも次のページに切り替わるのを集中して見ているのが伝わります。この絵本は乳児クラス向きですが、時々幼児クラスで読むとまた違った反応をしてくれますよ。(笑)
④『よるくま』(作・絵:酒井駒子)

引用:https://m.media-amazon.com/images/I/81oSc1KjD6L._SY342_.jpg
夜、おかあさんに「ねえ、きょう、ようちえんでね……」と話しかける男の子が主人公。夢の中で出会う「よるくま」とのやりとりが、どこか切なくて、でもとても優しくて、心に残る一冊です。
【おすすめポイント】
親子のつながりや安心感がじんわりと伝わる名作。
読み聞かせの声やトーンで、子どもの心が落ち着いていくのを感じる絵本です。
就寝前や、甘えたい気持ちが高まっているときに特におすすめです。
⑤『しーっ(新装版)』(作・絵:たしろちさと)

引用:https://book.froebel-kan.co.jp/images/book/img/raw/a4Ys9fTtWUX7hqQqDd5uoiR8Y0hMi3mESOC7o7UR.jpg
静かな森の中、音をたてるとどうなるか?――「しーっ」と静かにしていると、動物たちがそっと顔を出します。
読者も「静かに読む」ことが求められる、ちょっと変わった参加型絵本です。
【おすすめポイント】
静かにするって楽しい!という気づきをくれる一冊。
ページをめくるたびにワクワクする構成で、子どもたちは夢中になります。
お昼寝前や、にぎやかな活動の後のクールダウンタイムに最適です。
読み聞かせのときに気をつけたいポイント

トーン・間・声色で「落ち着く空気」をつくる
絵本そのものの内容も大切ですが、それをどう読むかも子どもたちの心に大きく影響します。
- 穏やかで一定のトーン
- 急がずゆっくりめくるページ
- 絵をじっくり見せる間の取り方
これらを意識することで、「絵本の時間=安心できる時間」という感覚が育まれます。
子どもが安心できる“場所とタイミング”の工夫
- 朝の自由遊び後、落ち着かせたいとき
- お昼寝前や降園前の静かな時間
- クッションや絵本コーナーなど、心地よい空間を演出
子どもたちが無理なく絵本の世界に入っていけるように、環境づくりもひと工夫してみましょう。
まとめ
心をほっとさせる時間を、絵本とともに
絵本は、子どもたちの心を育てる素敵なツール。特に「心が落ち着く本」は、日々の保育の中で小さな安心を届けてくれます。
今日ご紹介した5冊は、保育園でも読みやすく、さまざまな場面に取り入れやすいものばかり。子どもたちの様子に合わせて、ぜひ活用してみてください。
日常保育や家庭でも、取り入れてみよう
保育園だけでなく、おうちでも読み聞かせの時間はとても大切です。保護者にもおすすめ絵本として伝えれば、家庭での安心感や親子の絆にもつながります。
「今日はこの絵本を読みました」「子どもがじっと聞いていました」
そんなエピソードを共有するだけでも、保護者との信頼関係が深まりますよ。
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